咳は風邪じゃない?犬や猫の咳に隠れる病気とは。

11月も中盤になり、朝晩の冷え込みが強くなってきました。人も風邪やインフルエンザにかかりやすい季節ですね。
「うちのわんこやにゃんこも咳をしているけど、もしかして風邪かな?」そう感じる飼い主さんは少なくありません。
でも実は、犬や猫の咳=風邪とは限りません。
動物の咳には、心臓・気管・肺などの病気が隠れていることもあります。
人と同じように咳をしていても、原因や仕組みはまったく違うことが多々あります。
🟡咳は体の防御反応
咳は、気管や気管支、肺などの「気道」に何らかの刺激が起きたときに出る反応です。
ホコリや細菌、炎症などの刺激を体外に排出しようとする防御反応ですが、
頻繁に出る咳は、「刺激が続いている=どこかに異常がある」サインでもあります。
人間が風邪をひいたときの咳は一時的なことが多いですが、犬や猫の咳は慢性化することが多く、病気の初期症状として現れることが少なくありません。
🟡犬の咳に多い原因
犬では、以下のような病気が代表的です
⚫︎気管虚脱(きかんきょだつ)
小型犬に多く、気管がつぶれてガーガーとアヒルのような咳をします。
興奮時や散歩中に悪化しやすく、重症化すると呼吸困難になることも。
⚫︎僧帽弁閉鎖不全症(心臓病)
高齢の小型犬に多く、心臓の弁がうまく閉じなくなって血液が逆流。
肺に水がたまることで、特に夜や運動後に咳が出ます。
⚫︎気管支炎・肺炎
細菌やウイルス感染、アレルギーなどが原因。
乾いた咳(ケホケホ)や湿った咳(ゴホゴホ)など、咳の質が変わることもあります。
⚫︎ケンネルコフ(犬伝染性気管支炎)
いわゆる犬の“風邪”と呼ばれる感染症。
咳が長引く場合は、二次感染を防ぐためにも早めの治療が大切です。
🟡猫の咳に多い原因
猫が咳をするのは珍しいこと。そのため、咳が出ているときは比較的重い病気が隠れていることがあります。
⚫︎猫喘息(ねこぜんそく)
アレルギー反応で気道が炎症を起こし、ゼーゼー・ヒューヒューと発作的に咳き込みます。特に夜や寒暖差のある時期に悪化しやすい傾向があります。
⚫︎慢性気管支炎
中高齢の猫に多く、長期間にわたって咳が続くのが特徴。
放っておくと呼吸が浅くなり、動くのを嫌がるようになります。
⚫︎寄生虫(肺虫)感染
外に出る猫や保護猫でよく見られます。便検査やレントゲンで診断できます。
⚫︎心筋症(心臓病)
心臓の機能が低下して肺にうっ血が起こると、咳や呼吸困難が出ることがあります。
🟡咳の見分けポイント
- 乾いた咳(ケホケホ)→気管・気管支の炎症
- 湿った咳(ゴホゴホ)→肺や心臓に関係
- 発作的な咳(ゼーゼー)→喘息や気管虚脱の可能性
- 夜や運動後の咳→心臓病でよく見られる
咳の音やタイミングは診断の手がかりになります。診察時に動画を見せてもらえると非常に参考になります。
🟡咳が続くときは早めの受診を
咳が長引くと、体力が消耗するだけでなく、酸素不足や気道の炎症悪化にもつながります。動物病院では、レントゲン検査・心臓エコー・血液検査などで原因を特定し、その子に合わせた治療を行います。
咳は“風邪のように見えて”も、実際には心臓や呼吸器の病気のサインかもしれません。犬や猫の咳が続く、苦しそう、呼吸が荒い——そんな時は迷わずご相談ください。
当院では、循環器の専門診療にも対応しています。人も動物も体調を崩しやすい季節。「気になるな」と思った時こそ、早めのチェックを受けることが健康を守る第一歩です。
