予防はなぜ大切？健康を守るための基本とは
愛する家族の一員である動物たちの健康を守る上で、予防医療はまさに命綱です。
特に「狂犬病予防注射」「フィラリア予防」「ノミ・ダニ対策」「ワクチン接種」などは、命に関わる恐ろしい病気から大切な家族を守るために決して欠かせない対策です。
さらに、これらの予防は、動物たちだけでなくわたしたち人間にもうつる可能性のある病気（ズーノーシス＝人獣共通感染症）からも守ってくれる重要な役割を担っています。
定期的な予防を習慣にすることで、大切な家族であるペットと飼い主様、ご家族皆様の健康と安心を守ることができます。
狂犬病予防注射について
「狂犬病」と聞くと、遠い国の話だと思っていませんか？しかし、この病気はウイルスによって引き起こされる、発症すると致死率がほぼ100%という極めて恐ろしい感染症です。
犬や猫、そして私たち人間を含む、すべての哺乳類に感染すると言われています。日本では1957年以降、国内の犬での発生はありませんが、海を渡れば世界中に今も広く存在しており、決して油断はできません。
日本における予防接種の義務
日本では、狂犬病予防法によって、生後91日以上の犬の飼い主さんには年に1回の狂犬病予防注射が義務付けられています。これは、万が一の感染拡大を防ぐための、私たちの社会全体を守る大切なルールです。
| 対象 | 生後91日以上の犬（飼い犬） |
|---|---|
| 義務内容 | 年に1回の狂犬病予防注射 |
| 初回接種時期 | 生後91日以降すぐに（接種後30日以内に登録・鑑札と注射済票の交付を受けてください） |
| 法律 | 狂犬病予防法によって義務化 |
各自治体で集合注射も行われますが、当院では飼い主様のご都合に合わせて通年で接種が可能です。
料金は各市町村と同じ料金ですが、別途診察料がかかります。早めの予防で、感染リスクを未然に防ぎ、愛犬の命を守りましょう。
※日本では、猫に対する狂犬病予防接種は義務ではありませんが、一部の国と地域では猫も狂犬病予防接種が必須とされています。海外渡航を予定されている方は、出国予定の大使館等へお問い合わせください。
春から始めるフィラリア予防｜蚊から守る命
暖かくなり、蚊を見かけるようになったら、フィラリア予防のスタートの合図です。フィラリア症は、蚊が媒介する寄生虫による、放置すれば命に関わる恐ろしい病気です。
フィラリア症とは？
フィラリア症は、蚊によって媒介される寄生虫（フィラリア＝犬糸状虫）が、愛犬の心臓や肺動脈に寄生することで発症します。初期には症状が見られなくても、重症化すると心不全や肺の障害を引き起こし、最悪の場合、死に至ることもある恐ろしい疾患です。
感染のしくみ
フィラリアは、蚊を介して次のように感染します。
- 感染犬の血液内にいるフィラリアの子虫（ミクロフィラリア）を蚊が吸血。
- 蚊の体内でフィラリアの幼虫に発育。
- 次に蚊が別の犬を吸血するとき、幼虫が皮膚から侵入。
- 数ヶ月かけて成長し、心臓や肺動脈に移動 → 寄生・繁殖。
蚊の活動開始から、蚊がいなくなった後1ヶ月まで、必要な期間にしっかりと予防薬を投与することが、愛犬の命を守る上で極めて重要です！
症状（段階に応じて変化）
フィラリア症の症状は、病気の進行度合いによって様々です。
| 初期 | 活動的な犬でも全く変化が見られないことがほとんどです。 |
|---|---|
| 中期 | 軽い咳、運動を嫌がる（疲れやすい）、食欲低下、体重減少などが見られることがあります。 |
| 重症期 | 激しい咳、呼吸困難、お腹の膨れ（腹水）、血尿、黄疸などが現れ、突然死することもあります。 |
診断
当院では、次のような方法でフィラリア感染の有無を確認します。
| 血液検査（抗原検査） | 血液中のフィラリア抗原を検出して陽性反応を確認します。 |
|---|---|
| X線、超音波検査 | 心臓の状態や寄生数を評価し、病気の進行度合いを判断します。 |
治療
フィラリアに感染してしまった場合、治療は慎重に行われます。なぜなら、大量のフィラリアが一度に死んでしまうと、その死骸が肺血管に詰まり、危険な状態に陥ってしまう可能性があるからです。
- ミクロフィラリア駆除薬の投与
- 心臓の機能サポート（利尿剤、強心剤など）
- 重度の場合、外科手術でフィラリアを取り出すこともあります。
予防が最重要！
フィラリアは、予防薬を適切に投与すれば、なんと100%防げる病気です。
| 主な予防薬の種類 |
|
|---|---|
| 投与期間の目安 | 蚊が出始める頃〜蚊がいなくなった1ヶ月後までが基本です。しかし、近年では冬の間も蚊の活動が見られることも多く、予防期間が長期化しています。そのため、通年予防も強くおすすめしています。 |
フィラリア予防の流れ
春の血液検査
予防薬の投与前に、前年の感染有無をチェックしましょう。これにより、もし感染していた場合でも、適切な治療計画を立てることができます。
予防薬の投与
一般的に4月～11月頃を目安に投与を開始しましょう。桜が咲いたら予防スタート！蚊がいなくなって1ヶ月後に最終投与が基本です！
当院のウェルネス会員ページでは、様々な予防薬の詳細をご紹介しています。
ノミ・ダニ予防は通年が基本！アレルギーや皮膚病も防ぐ
ノミやダニは、犬や猫にとって強いストレスや皮膚炎の原因となるだけでなく、人にも影響を及ぼす厄介な寄生虫です。
気温の上がる春〜秋だけでなく、暖房で暖かい冬の室内でも繁殖するため、1年を通じた予防が強く推奨されています。
命にかかわる感染症の予防
ノミやマダニは、吸血するだけでなく、様々な恐ろしい病気を媒介することが知られています。
ノミが媒介する病気
| ノミアレルギー性皮膚炎 | ノミの唾液に対するアレルギー反応で、ひどいかゆみと皮膚の炎症を引き起こします。 |
|---|---|
| 瓜実条虫（うりざねじょうちゅう） | ノミを介してお腹に寄生する虫です。 |
| 貧血 | 小型犬や子犬では、大量のノミに吸血されることで深刻な貧血に陥ることがあります。 |
マダニが媒介する病気
| バベシア症 | 赤血球を破壊して重度の貧血を引き起こします。放置すると動物の命に関わることもあります。 |
|---|---|
| SFTS（重症熱性血小板減少症候群）・ライム病・日本紅斑熱など | これらは人間にも感染し、死亡例もあるウイルス性疾患です。特にSFTSは、近年注目されている致死性の高い病気です。 |
ノミやダニが寄生すると、全身の痒みにつながり、痛みや違和感が出たり、皮膚が化膿して皮膚病を引き起こすこともあります。
さらに、ノミはたった1匹見つかっただけでも、その周囲には数百〜数千匹が潜んでいる可能性があるというデータもあります。家のカーペットやソファ、布団などに潜み、動物だけでなく人にも簡単に感染してしまうのです。
ノミダニ予防をすることは、愛犬や愛猫だけでなく、人間にも感染のリスクがある恐ろしい病気を未然に防ぐ、非常に大きな意味があると言えるでしょう。
主な予防薬の種類
| 内服薬 | チュアブルやフレーバー錠など、口から摂取するタイプ。 |
|---|---|
| スポットタイプ | 皮膚に滴下するタイプ。 |
当院のウェルネス会員ページでは、様々な予防薬の詳細をご紹介しています。
ズーノーシス（人獣共通感染症）に注意しましょう
ズーノーシスとは、動物から人にうつる病気の総称です。ペットと暮らす上で、このズーノーシスについて知っておくことは、愛する家族の健康を守るためにも、そして私たち自身の健康を守るためにも非常に重要です。
以下のような疾患が挙げられます。
| 病名 | 主な感染源 | 感染経路 | 人への症状 |
|---|---|---|---|
| 狂犬病 | イヌ、コウモリ、キツネ | 噛まれる（唾液） | 神経障害・恐水症・ほぼ致死性 |
| トキソプラズマ症 | ネコ、汚染された肉や土 | 糞便、加熱不足の肉 | 発熱・筋肉痛、胎児への影響（妊婦） |
| カンピロバクター症 | イヌ、ネコ、食肉 | 糞便、汚染食品 | 下痢・腹痛・発熱 |
| サルモネラ症 | 爬虫類、鳥、卵、生肉 | 糞便、接触、食品 | 胃腸炎・嘔吐・下痢 |
| レプトスピラ症 | ネズミ、イヌ、家畜 | 水・尿から皮膚や粘膜 | 発熱・筋肉痛・黄疸・腎障害 |
| バルトネラ症（猫ひっかき病） | ネコ | ひっかき・噛み傷 | リンパ節の腫れ・発熱・疲労感 |
| SFTS（重症熱性血小板減少症候群） | マダニ | マダニに刺される | 発熱・嘔吐・出血傾向・重症化 |
| エキノコックス症 | キツネ、犬 | 寄生虫卵の経口摂取 | 肝障害・脳症など（数年かけ進行） |
| 鳥インフルエンザ | 鳥類（鶏、アヒルなど） | 接触・吸入 | 高熱・呼吸器症状・重症化あり |
家庭内での「うっかりスキンシップ」から感染するケースも多いため、正しい衛生習慣と定期的な駆虫・予防が何よりも重要です。
飼い主様ができる予防対策
- 定期的な予防薬の投与：カレンダーやアプリで管理すると、忘れずに投与できます。
- 室内飼育＋蚊やノミ・ダニの侵入対策：可能な限り、愛犬や愛猫を屋外の危険から守りましょう。
- 毎年のフィラリア検査：予防薬の投薬前に必ず検査を受けましょう。
- 特に高齢の方や小さなお子様がいるご家庭では、室内環境を清潔に保つことが、感染リスクを減らす上で非常に大切です。
混合ワクチンについて
大切な家族を守る！WSAVAワクチネーションガイドラインとは？
「うちの子に必要なワクチンって何だろう？」「毎年必ず打たないといけないの？」そんな疑問をお持ちの飼い主さんへ。
世界中の獣医さんが参考にしているWSAVA（世界小動物獣医師会）のワクチネーションガイドラインは、あなたの愛するワンちゃん、ネコちゃんを病気から守るための、世界的なワクチン接種の指針です。当院でもこのワクチンプロブラムを採用しています。
難しそうに聞こえるかもしれませんが、ご安心ください！大切なポイントを分かりやすくお伝えします。
なぜガイドラインが大切なの？
WSAVAのガイドラインは、最新の科学的な研究に基づいて、本当に必要なワクチンを、適切な時期に安全に接種するための方法を示しています。
過剰なワクチン接種を避け、動物たちへの負担を減らすことも目的としています。
ワクチンの種類は大きく分けて2つ
WSAVAのガイドラインでは、ワクチンを大きく2つのグループに分けて考えます。
1.コアワクチン
すべての子に推奨される、命を守る基本のワクチン
これらのワクチンは、感染力が強く、重症化しやすい、あるいは命に関わる病気を予防するために、すべての犬と猫に接種が推奨されています。
2.ノンコアワクチン
その子の生活スタイルやリスクに応じて考慮するワクチン
犬や猫の年齢・健康状態・生活環境によって、必要性が変わるワクチンです。接種するかどうかは、獣医と相談して決めるのが基本です。
犬のワクチン
| 疾病名 （ワクチン名） |
分類 | 備考 |
|---|---|---|
| ジステンパー（CDV） | コアワクチン | 発熱、くしゃみ、咳、けいれんなど。子犬や高齢犬に特に注意が必要です。 |
| 伝染性肝炎（CAV-1） | コアワクチン | 肝臓に炎症を起こすウイルス性の病気。突然悪化することもあります。 |
| アデノウイルス2型（CAV-2） | コアワクチン | 咳やくしゃみなど、呼吸器に症状が出ます。 |
| パルボウイルス（CPV） | コアワクチン | 激しい下痢・嘔吐を引き起こす病気で、特に子犬では命に関わります。 |
| パラインフルエンザウイルス（CPiV） | ノンコアワクチン | 咳や鼻水など、軽度の呼吸器症状。集団飼育では感染リスクが上がります。 |
| レプトスピラ症（数種類の型） | ノンコアワクチン | 発熱・嘔吐・黄疸など。人にもうつる病気（ズーノーシス）です。 |
| ボルデテラ・ブロンキセプティカ | ノンコアワクチン | ケンネルコフの原因菌の一つ。ペットホテルやトリミング利用の多い子に推奨されます。 |
犬のコアワクチン
犬ジステンパーウイルス感染症
風邪のような症状から始まり、発熱・鼻水・くしゃみ・咳・嘔吐・下痢などが見られます。進行するとけいれんや麻痺など神経症状を引き起こし、命に関わることもある怖い病気です。
犬アデノウイルス感染症（犬伝染性肝炎、犬伝染性喉頭気管炎）
主に喉や気管に炎症を起こす風邪のような病気で、咳や鼻水が特徴。ほかのウイルスと一緒に感染し、ケンネルコフ（犬の風邪）の原因にもなります。
犬パルボウイルス感染症
非常に感染力が強く、致死率も高い病気です。主な症状は激しい下痢（ときに血便）・ 嘔吐・食欲不振・元気消失で、特に子犬は重症化しやすく命に関わることもあります。
狂犬病ウイルス感染症（日本では法律で年1回の接種が義務付けられています）
すべての哺乳類に感染するウイルスで、人にもうつります（人獣共通感染症）。感染すると興奮・麻痺・けいれんなどを経て、ほぼ100%死亡する非常に危険な病気です。日本では発生していませんが、法律でワクチン接種が義務付けられている重要な感染症です。
犬のノンコアワクチン
犬パラインフルエンザウイルス感染症（CPiV）
上部気道に感染し、くしゃみ・咳・鼻水などを引き起こすウイルス性の呼吸器感染症。単独でも発症しますが、他の病原体とあわせて「ケンネルコフ（犬伝染性気管支炎）」の原因になります。
ボルデテラ・ブロンキセプティカ感染症
ケンネルコフの主要な原因菌。咳や発熱、くしゃみなどを引き起こす細菌感染症で、飛沫や接触で感染します。
レプトスピラ症
細菌（スピロヘータ）による全身感染症。発熱・黄疸・腎障害・肝障害などを起こし、人にも感染する「人獣共通感染症（ズーノーシス）」です。雨水や川・池の水、野生動物の尿などを通じて感染します。
猫のワクチン
| 疾病名 （ワクチン名） |
分類 | 備考 |
|---|---|---|
| 猫汎白血球減少症ワクチン（FPV） | コアワクチン | 非常に感染力が強く、致死率も高い |
| 猫カリシウイルスワクチン（FCV） | コアワクチン | 呼吸器症状や口内炎などを引き起こす |
| 猫ウイルス性鼻気管炎ワクチン（FHV-1） | コアワクチン | くしゃみ・鼻水・結膜炎など |
| 猫白血病ウイルスワクチン（FeLV） | ノンコアワクチン | 外に出る猫には接種を推奨 |
| クラミジアワクチン（Chlamydia） | ノンコアワクチン | 結膜炎やくしゃみを引き起こす |
| 猫免疫不全ウイルスワクチン（FIV） | ノンコアワクチン | 効果に議論あり、獣医師と相談のうえ判断 |
| ボルデテラワクチン | ノンコアワクチン | 多頭飼育やペットホテル利用時などに検討 |
猫のコアワクチン
猫汎白血球減少症（猫パルボウイルス感染症）
とても強いウイルスで、特に子猫にとっては命に関わる病気です。 元気がなくなる・食欲がなくなる・嘔吐や下痢などの症状が出ます。 血液中の白血球が減って、免疫力がガクンと下がってしまうため、他の感染症にもかかりやすくなります。
猫ウイルス性鼻気管炎（猫ヘルペスウイルス1型感染症）
猫の「風邪」のような病気です。くしゃみ・鼻水・目やに・発熱が出ます。目の症状（結膜炎や角膜炎）がひどくなることもあります。ウイルスは体に残るタイプで、ストレスなどで再発することも。
猫カリシウイルス感染症
こちらも猫の風邪のような症状を引き起こすウイルスです。くしゃみ・鼻水・発熱・口の中の潰瘍（痛みでごはんを食べられなくなること）が特徴。重症化すると肺炎や関節炎を起こすこともあり、注意が必要です。
猫のノンコアワクチン
猫白血病ウイルス感染症
白血病ウイルスに感染することで、免疫力が落ちてしまう病気です。 ほかの病気にもかかりやすくなり、がん（リンパ腫）や貧血の原因になることも。
猫クラミジア感染症
クラミジアという細菌が目や鼻に感染する病気。涙や目やに、くしゃみがでたり、結膜炎を起こすこともあります。
猫免疫不全ウイルス感染症（FIVワクチン）
人のエイズと似たウイルス性の病気ですが、人にはうつりません。 発症しない時期は元気に過ごせますが、ゆっくりと免疫力が下がっていきます。口内炎や慢性的な下痢、皮膚病やがんなどが起きやすくなります。
WSAVAが勧めるワクチン接種のスケジュール
子犬・子猫と成犬・成猫で違うの？
はい、違います。特に子犬や子猫は、お母さんからの免疫（移行抗体）の影響を受けるため、適切な時期に複数回のワクチン接種が必要です。
一般的な考え方
- 子犬・子猫は生後6〜8週齢頃からワクチンを開始し、数週間おきに複数回接種（ブースター接種）を行います。最後の接種は、移行抗体の影響を受けにくい時期に行うことが重要です。
- 成犬・成猫は初回接種後、コアワクチンは1〜3年ごとの追加接種が推奨されることが多いですが、抗体価検査で免疫の有無を確認する方法もあります。ノンコアワクチンは、通常毎年接種が推奨されます。
- 犬の狂犬病ワクチンは日本では毎年接種が必要です。猫は海外渡航の際などに必要になることがあります。
ワクチンチェック（ワクチン抗体検査）とは？
ワクチチェックとは、「犬の体に、ワクチンで守るべき病気に対する抗体がちゃんとあるかを調べる検査」です。
つまり、今のワンちゃんにワクチンが本当に必要かどうかを判断するための血液検査です。
また、猫の場合は外部検査センターへ血液を送り、抗体があるかどうかを調べます。
なぜワクチチェックが必要なの？
犬や猫の混合ワクチンは、重い感染症から命を守る大切なものですが、すべての子に毎年必ず必要とは限りません。
以下のような理由から、ワクチンを打つ前に「抗体があるかどうか」チェックするのが安心です。
- すでに十分な免疫がある場合、追加のワクチンは不要なことも
- ワクチンによる副反応が心配な子にとって、体への負担を減らせる
- 高齢犬や持病のある子にとって、過剰なワクチン接種を避けられる
検査対象となる病気
ワクチチェックでは、以下のコアワクチンの抗体を測定します。
| 疾病名 （ワクチン名） |
犬猫 | 概要 |
|---|---|---|
| 犬ジステンパーウイルス（CDV） | 犬 | 発熱・くしゃみ・けいれんなどを引き起こすウイルス性疾患 |
| 犬パルボウイルス（CPV） | 犬 | 激しい下痢・嘔吐・血便などを起こす、命に関わる感染症 |
| 犬アデノウイルス（CAV） | 犬 | 肝炎や呼吸器症状の原因となるウイルス |
| 猫ウイルス性鼻気管炎（FHV-1） | 猫 | くしゃみ・鼻水・目やにを引き起こす「猫風邪」の原因ウイルス |
| 猫カリシウイルス感染症（FCV） | 猫 | 口内炎やくしゃみなどの症状を起こす。感染力が強い |
| 猫汎白血球減少症（FPV） | 猫 | 激しい下痢・嘔吐・免疫低下を引き起こし、命に関わることも |
これらは「命に関わる感染症」であり、国際的にも重要とされるワクチン（コアワクチン）です。
当院では、ワクチン希望犬のうち70〜80％がワクチチェックにより過剰なワクチン投与を防ぐことができています。
検査の流れ
- ご来院・問診
- 少量の採血
- 検査（院内または外部検査センター）
- 結果説明（郵送）
どのくらいの頻度で受けるべき？
抗体価の検査は、1年に1回の健康チェックの一環として受けることをおすすめしています。
抗体がしっかり残っているか確認し、必要な場合だけワクチンを接種することで、ワンちゃんネコちゃんの健康を守りつつ、過剰な接種を避けることができます。
WSAVAガイドライン
推奨ワクチンスケジュール
子犬・子猫の初回接種
- 生後6〜8週齢で初回接種を開始し、その後2〜4週間隔で複数回接種することが推奨されています。
- 重要なのは、最終接種を16週齢（4ヶ月齢）以降に行うことです。これは、母犬・母猫から受け継いだ移行抗体（母子免疫）が子犬・子猫自身の免疫獲得を妨げることがあるため、この移行抗体がなくなる時期を見計らって確実に免疫をつけさせるためです。
成犬・成猫の追加接種
- コアワクチンは、一度免疫が確立されれば3年以上免疫が持続することが科学的に証明されています。そのため、毎年の接種ではなく、3年に1回の接種が推奨されています（狂犬病ワクチンは日本の法律で毎年接種が義務付けられています）。
- ノンコアワクチンは、種類やリスクに応じて毎年接種が必要な場合もあります（例：レプトスピラなど）。
抗体検査の活用
WSAVAガイドラインでは、不必要なワクチン接種を避けるために、抗体検査の活用も推奨されています。
- コアワクチン（ジステンパー、パルボ、アデノウイルスなど）については、血液検査で体内の抗体価（免疫の有無や強さ）を測定し、十分な抗体がある場合は追加接種を控えることができます。
- 抗体価が基準より低い場合にのみ、追加接種を行うことで、個々の動物に合わせた最適なワクチンプログラムを組むことが可能になります。
注意点
- ワクチン接種後、稀にアレルギー反応などの副反応が出ることがあります。接種後30分程度は病院で様子を見ることが推奨されます。
- 妊娠中の動物や、病気で体調が優れない動物には、ワクチン接種を避けるべき場合があります。
- ワクチンプログラムは、個々の動物の健康状態、年齢、生活環境、地域の疫学状況などを総合的に考慮して、獣医師と相談して決定することが重要です。
WSAVAのガイドラインは、より安全で効果的なワクチン接種を推進し、動物たちの健康と福祉を守るための国際的な基準として非常に重要です。
大切なこと
ワクチン接種のスケジュールは、動物の種類、年齢、健康状態、生活環境によって大きく異なります。
当院はWSAVAのガイドラインに則って、獣医が最適なワクチン接種プランをお勧めします。
「うちの子にはどんなワクチンが必要？」「接種時期はいつがいいの？」など、どんな些細なことでも構いませんので、当院にご相談ください。
ウェルネス会員制度で、もっと安心な予防生活を
当院では、病気の予防にしっかり取り組む飼い主様を応援するため、「ウェルネス会員制度」を設けています。
- 年会費なし！
- 手続き不要！
- 予防プログラムを実施された方に、嬉しい特典あり！
動物たちの健康を守る第一歩として、ぜひこのウェルネス会員制度をご活用ください。
犬猫の予防は、飼い主様も守る
大切な家族と安心して暮らせる毎日をサポートできるよう、専門知識と経験豊富なスタッフが、飼い主様に寄り添い、最適な予防プランをご提案いたします。
ご不明な点やご不安なことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
