胆泥症ってどんな病気?
こんにちは! ユウ動物病院です。
今日は胆泥症についてのお話です。
春に健康診断を受診された方の中には、再検査のすすめを受けた方もいらっしゃるかもしれません。その中でも多く見つかる異常のひとつが胆泥症のサインです。
🔴胆泥症ってどんな病気?
胆泥症は、胆のうという小さな袋の中にドロドロとした胆泥がたまってしまう状態のことです。胆のうは、肝臓で作られる胆汁という液体を一時的に貯めておく場所。胆汁は、食べ物に含まれる脂肪を消化・吸収するのを助け、体にとって大切な役割があります。
ふつう、胆汁はサラサラしていますが、何らかの原因で流れが悪くなったり、成分のバランスが崩れたりするとドロドロしてきて、海苔の佃煮のようになってしまいます。
胆汁の流れが悪くなる原因は、肝臓の病気・胆汁の通り道が詰まる・胆のう自体の動きが悪くなる、などです。また、脂っこい食事が多いと胆汁がドロドロになりやすいと言われています。
🔴なぜ胆泥がたまるのが問題なの?
胆泥が少量のうちは、症状が出ないこともあります。でも、放っておくと次のような深刻な問題を起こすことがあります。
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胆のう炎:胆泥が胆のうを刺激して、炎症を起こします。胆のうの壁が厚くなり、本来の機能が落ちていきます。細菌が感染すると、急に具合が悪くなることもあります。
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胆管閉塞:胆泥が胆管に流れ込む時に管を詰まらせてしまうことがあります。そうすると、胆汁が体の中に逆流してしまい、黄疸が出たり肝臓の機能を悪くなる原因になります。ひどい場合は、膵臓の炎症を併発することもあります。
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胆のう粘液嚢腫:胆泥症がさらに進み、胆のうの中にゼリーのようなドロドロしたもので胆のうがいっぱいになってしまう病気です。胆のうが破裂する危険性が非常に高くなります。
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胆のう破裂:炎症や粘液のう腫がひどくなると破裂してしまうことがあります。胆汁が体の中に漏れ出すと、腹膜炎が起こり、命を落とす可能性もあり、大変危険です。
🔴どんなサインに気をつければいい?
病気が進むと次のような症状が見られることがあります。
- 食欲がない、食欲が落ちる
- 何度も吐く
- 元気がない
- 触られるのを嫌がる
- 目や歯茎、皮膚などが黄色っぽくなる
- おしっこの色が濃くなった
胆泥症の診断で最も役立つのは超音波検査です。胆のうの形・胆泥の硬さ・壁の厚さ・胆管の幅などを見ることができます。血液検査で肝臓の数値や炎症の有無をチェックすることも重要です。
🔴治療は?
胆泥症の治療方法は、病気の進み具合や、他の病気を併発しているかどうかで変わります。
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内科治療
- 胆汁の流れを良くする薬を飲む。
- 肝臓の保護をするサプリメントを飲む。
- 脂肪分を控えた療法食にする。
- 吐き気止めや痛み止め、抗生物質なども使います。
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外科治療
- 胆のう粘液嚢腫になってしまった・内科治療で改善しない・胆管の詰まりがある・胆のうが破裂してしまった緊急時には、胆のうを摘出する手術が必要になります。
症状がない段階で見つかった胆泥症なら、薬と食事管理、定期的なチェックで元気に過ごせる子もいますが、胆のう粘液のう腫や破裂まで進んでしまうと、命に関わる厳しい状況になることもあり得ます。
🔴予防と定期的な健康チェックが何より大切!
- 定期的な健康診断:年に2回以上、健康診断を受けましょう。
- 血液検査、腹部超音波検査をすることで、症状が出る前に胆泥症を見つけ、早く対処することができます。
- 適切な食事管理:その子に合ったバランスの良い食事を与えるようにしましょう。
胆のうは、サインがわかりづらい沈黙の臓器とも言われています。だからこそ、飼い主さんが日頃から様子をよく観察し、定期的に動物病院でチェックを受けることが大切です。