ユウ動物病院
Facility

内視鏡

内視鏡

当院では、OLYMPUS社の「EVIS EXERAⅢ CVL-190」を採用しています。

EVIS EXERAⅢ CVL-190の写真

内視鏡とは?

内視鏡(ないしきょう)は、細長い管の先端に取り付けられたカメラを使って、体内の様子を直接観察するための医療機器です。

内視鏡を使うと、体に大きな傷をつけることなく、内部の異常を細かく見ることができます。この技術を動物病院で活用することで、犬や猫の体内の状態をリアルタイムで確認でき、診断や治療を素早く行うことができます。

内視鏡にはいくつかの種類があり、用途に応じて使い分けます。例えば、消化器系に使う内視鏡(軟性内視鏡・ファイバースコープ)や、呼吸器系に使うもの、耳や鼻の中を観察するもの(硬性内視鏡・リジッドスコープ)などがあります。

これらを症状によって使い分け、限りなく動物に負担の少ない処置を行います。

内視鏡の役割と活用例

1診断のための観察

内視鏡は、病気の早期発見や診断にとても役立ちます。例えば、消化器系の不調や、呼吸器系の問題などがある場合に使用されます。具体的な活用例は以下の通りです

消化器系の問題

嘔吐する、食欲がない、下痢を繰り返すなどの症状がある場合、内視鏡で胃や腸の中を直接見ることで、胃腸炎や潰瘍、腫瘍、異物の有無を調べることができます。

胃腸炎などの発見はもちろん、炎症性腸疾患(IBD)やポリープ・腫瘍(消化管癌・リンパ腫)などを疑う場合の採材(組織の一部を切り取る)など、今後の治療に大きく貢献します。

呼吸器系の問題

咳や呼吸困難が続く場合、気管や肺の状態を観察することができます。気管支炎や肺炎、腫瘍などの早期発見に有効です。当院では気管支鏡もあり、体の大きさに合わせた機器選択が可能です。

鼻腔や耳の問題

鼻水が続く、耳が臭う、くしゃみが止まらないなどの症状がある場合、鼻腔や耳の奥を内視鏡でチェックして、異物や炎症、腫瘍などの原因を突き止めます。

内視鏡によって、他の検査では見逃されがちな細かい病変や異常も発見することができ、精度の高い診断が可能になります。

2異物の除去

ペットが誤って飲み込んでしまった異物を取り出すために内視鏡が使われることもあります。小さな異物(おもちゃの破片や骨、糸など)は、開腹手術をしなくても、内視鏡で取り出すことができます。

この方法はペットにとって非常に負担が少なく、傷が小さいため回復が早くなります。

異物除去の例

  • ペットが誤って小さなおもちゃや食べ物の包装紙を飲み込んだ
  • 硬い物(骨や石)を飲み込んで消化不良を起こしている
  • 異物が消化器官に詰まっている場合

これらの異物は内視鏡を使って迅速に取り除くことができ、ペットへのストレスやダメージを最小限に抑えることができます。

ただし、飲み込んだものが、大きなもの、鋭利なものを飲み込んだなどの場合は、開腹手術になることを頭に入れておく必要があります。

3生検(組織の採取)

内視鏡を使うことで、疑わしい病変の部位から組織を少しだけ採取し、病理検査に出すことができます。例えば、腫瘍やポリープが見つかった場合、その一部を採取して良性か悪性かを調べます。生検によって、病気が早期に発見でき、最適な治療方法を選ぶことができます。

生検が必要な場合

  • 腫瘍やポリープが疑われる
  • 慢性的な炎症や潰瘍が見られる
  • 予測できない病気が疑われる場合

生検によって病気の進行具合や悪性の有無を確認し、治療の方向性を決定するために非常に重要な役割を果たします。

当院では、口からだけでなく肛門からの内視鏡検査も可能です。腸の異常が肛門近くにあるけれど、指では届かない…そんな時には肛門からの検査を実施しています。

内視鏡のメリット

侵襲が少ない

内視鏡は体内に小さなカメラを挿入するだけなので、大きな手術と比べて傷が小さくて済みます。回復も早く、ペットの負担が少ないです。

短時間で行える

内視鏡は迅速に検査を行うことができ、全身麻酔の時間を短縮することができます。麻酔から目覚めるのも早いです。

精密な診断

カメラで実際に患部を直接見ながら判断するため、他の検査方法よりも高精度な診断が可能です。

多目的に活用できる

診断だけでなく、異物除去や生検、治療などさまざまな用途に利用できます。

内視鏡検査を受ける目安

内視鏡検査が有効な症状例としては以下のものがあります。

  • 食べたものを吐くことが続く
  • 体調が優れず、食欲が落ちた
  • 咳が止まらない
  • 鼻水が長期間続く
  • 体重が急に減少した
  • 異物を飲み込んだかもしれない(おもちゃ、骨など)
  • 下痢が続いている

これらの症状が見られる場合、内視鏡を使って体内の状態を調べることができます。早期に問題を発見することで、最適な治療が可能となります。

検査の流れ

事前の診察

まずは症状について獣医師と相談し、内視鏡検査が必要かどうかを判断します。

内視鏡検査の実施

ペットは軽い麻酔をかけて、内視鏡を体内に挿入します(事前には血液検査・レントゲン検査などを行い、麻酔をかけても大丈夫か必ず確認します)。

内視鏡のカメラが映し出す映像を見ながら、獣医師が検査を行います。

結果の説明

検査後、獣医師が結果を飼い主に説明します。異常があれば、どのような治療が必要かを提案します。また、組織の一部を取った場合は、外部検査センターへ送り、組織の内容を多角的に検査します。

治療

必要に応じて、内視鏡を使った治療が行われます。異物除去や異常が起きている部位の確認などを行うことができます。

まとめ

内視鏡は、動物たちの体内を観察するための非常に有効なツールです。特に、当院の内視鏡設備は高画質で、病変を見逃しません。

リスクを最小限に抑え、迅速かつ高精度な診断と治療を提供できるため、動物にとって負担が少なく、安全に問題を解決することができます。

症状が気になる場合は、早期の診察を受けることをおすすめします。