「うさぎの“いつも通り”を守るお手伝いを。」
うさぎはとても繊細で、体調の変化を隠してしまう動物です。そのため、病気が見つかったときにはすでに進行しているケースも少なくありません。
当院では、病気の早期発見・予防のためには、飼い主さまが日頃からうさぎの体の仕組みや特徴を知っておくことが大切だと考えています。
このページでは、うさぎの健康を守るために知っておきたい生理学やからだの特徴、日常の観察ポイントをわかりやすく解説します。ご自宅での健康管理や、受診の目安にぜひお役立てください。
うさぎの種類
うさぎの種類は、世界中で品種改良が進んでおり、その数は多岐にわたります。
公認品種の数
アメリカのうさぎブリーダー協会(ARBA)が公認している品種は51種類ほどです。イギリスのうさぎブリーダー協会(BRC)では、非公認種を含めると150種類以上にのぼるとも言われています。
日本のペットショップなどで見かけるのは、そのうちのごく一部です。
愛玩用として人気のうさぎの種類
日本で愛玩用としてよく飼育されている代表的な種類は以下の通りです。
ネザーランドドワーフ

特徴 | 世界最小のうさぎとして知られ、丸い顔と短い耳が可愛らしい品種です。 |
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性格 | 警戒心が強く、慣れるまでに時間はかかりますが、慣れると甘えん坊になる子もいます。 |
ホーランドロップ

特徴 | 垂れ耳のうさぎの中でも最も小柄な品種です。丸い顔と体が愛らしく、ぬいぐるみのような見た目をしています。 |
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性格 | 人懐っこく穏やかな性格で、初心者にも飼いやすいと言われています。 |
ミニレッキス

特徴 | ビロードのような美しい毛並みが最大の特徴です。 |
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性格 | 穏やかで甘えん坊な子が多いです。 |
ライオンラビット

特徴 | 名前の通り、ライオンのたてがみのような飾り毛が顔の周りにあるのが特徴です。 |
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性格 | 社交的で人にもなつきやすく、寛容な性格のため、子どもがいる家庭でも比較的飼いやすいとされています。 |
ミニうさぎ

特徴 | 特定の品種ではなく、品種がはっきりしていないうさぎの総称です。様々な品種の血が混ざっているため、個性豊かです。 |
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性格 | 個体によって様々ですが、一般的には人懐っこい子が多いとされています。 |
これらの他にも、長毛種でモコモコした毛が魅力の「アメリカンファジーロップ」や「ジャージーウーリー」なども人気があります。
うさぎを選ぶ際は、その品種の特性や性格をよく理解し、ご自身のライフスタイルに合った子を選ぶことが大切です。
うさぎの生理学
うさぎのからだの特徴を知ろう
心拍数と呼吸数
うさぎはとても速い心拍・呼吸をしています。
- 心拍数:180~300回/分(じっとしていてもドキドキ!)
- 呼吸数:30~60回/分(速く浅い呼吸)
ストレスや暑さ、痛みでさらに上がるため、ちょっとした変化も体調不良のサインになることがあります。
体温と体温調整
- 体温38.0~40.0℃と、犬や猫よりも少し高めです。
- 汗をかけないため、暑さにとても弱い動物です。
- 耳から熱を放散します(耳が赤くなるのは熱を逃がしている証拠)
夏の熱中症、冬の寒さ対策はとても大切です!
消化のしくみ
うさぎの胃腸は、常に動いていることが健康のカギ!
- 食べ続けることで腸の動きが保たれます。
- 完全な草食動物
- 「盲腸便(栄養便)」というやわらかいうんちを出し、自分で食べて栄養を再吸収しています。これを食べない・残すときは、要注意です。
歯の構造
うさぎの胃腸は、常に動いていることが健康のカギ!
- うさぎの歯は 一生伸び続けます!
- 前歯(切歯)も奥歯(臼歯)も伸びます。
- 牧草など硬いものをしっかり噛んで、自然に削ることが大切です。
- 歯並びが悪くなると、食欲不振・よだれ・涙などの症状が出ます。おもちゃや齧り木・ケージなどの固いものを噛むと歯並びに影響を及ぼします。
性成熟と繁殖
- 性成熟は生後4~6か月ごろ
- 繁殖力がとても強く、妊娠期間は約30日
- 多頭飼育をしている場合は、避妊・去勢手術を早めに検討しましょう。手術を行うことで病気の予防(子宮疾患・行動の安定)にもつながります。
性成熟と繁殖
- うさぎは音やにおいにとても敏感です。
- ストレスに弱いため、静かな環境・安心できる場所が大切。
- こわがりだけど、飼い主さんとの絆を感じると甘えてくれるようになります。
うさぎはとても繊細で、環境の変化や体調不良を隠してしまう動物です。 「なんとなく元気がない気がする…」そんな違和感こそ、早めの受診が大切です。
当院では、うさぎ診療の知識と経験をもとに、健康管理から病気の治療までサポートしています。
うさぎの診療内容

主な診療内容
- 歯のトラブル(不正咬合・食欲不振・よだれ)
- 消化器疾患(うっ滞・毛球症など)
- 呼吸器トラブル(くしゃみ・鼻水)
- 皮膚トラブル(脱毛・かゆみ)
- 涙・目やに(鼻涙管閉塞など)
- 避妊・去勢手術 など
こんな様子があれば受診を
- ごはんを食べない、うんちが出ない
- 歯ぎしり、ぐったりしている
- 目を細めている、涙が多い
- 片足を引きずる、走らなくなった
ご来院時のポイント
- キャリー+タオルでしっかり保温
- なるべく静かな移動手段を選びましょう。車内の音楽はボリュームを小さくしましょう。
- 最近の食事内容、排便の様子をメモしておくとよいでしょう。
- 可能であれば排泄物のサンプルも
当院では、うさぎの診察経験が豊富な獣医が診療にあたらせていただきます。

まとめ:うさぎの体を知ること=うさぎの命を守ること
うさぎは「弱ってからでは遅い」ことが多い動物です。普段の観察、飼い方、そしてからだのしくみを知って、 あなたの大切なうさぎさんを一緒に守っていきましょう。
うさぎの飼い方ガイド

基本の飼育環境
- ケージは風通しよく、静かな場所におきましょう。床材が硬すぎると皮膚炎を起こすことがあるので注意!
- 毎日へやんぽ(部屋での散歩)を充分させてあげましょう。運動不足による肥満の防止や、ストレス解消につながります。
- 温度は18〜24℃を保ち、直射日光と湿気を避けましょう。換毛期は春と秋にやってきます。こまめなブラッシングが必要です。
食事のポイント
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チモシー(牧草)を常にたっぷりと
繊維質が豊富で低タンパク質・低カルシウムな餌が大切です。チモシーヘイ・オーツヘイ・オーチャードヘイなどをしっかり食べることで、歯が伸びるのを防ぎ、胃腸の働きが良くなります。
アルファルファやマメ科の干し草はタンパク質とカルシウムが多いので、成長期や妊娠期などに与えましょう。
- ペレットは補助的に。体重や年齢に応じて量を調整しましょう。
- おやつは控えめに。糖分の多い果物はNG!
- 水をたっぷりと与えましょう。
健康チェック
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うんちの量・大きさ・形は毎日チェック!
- 小さくコロコロしていたら要注意
- 盲腸便(軟便)を食べない・残すときは早めに診察を受けましょう。
日常ケア
- 爪切り(2〜4週間ごと)
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抱っこでの健康チェック(ただし怖がる子には無理をしない)
うさぎについてよくある質問
抱っこができないのですが…
無理に抱っこせず、床の上で観察しましょう。抱っこの練習は少しずつで大丈夫です。
便が小さいけど元気です。大丈夫?
便が小さくなるのは腸の動きが鈍くなっているサインかもしれません。お早めにご相談ください。
夏や冬の温度管理は?
夏はクーラー、冬はヒーターを活用し、適温18〜24℃をキープしましょう。温度計・湿度計の設置をおすすめします。
