小さくて可愛らしいハムスターですが、その体はとてもデリケートです。病気の進行が早く、「少し元気がないかな…」と思った時には、すでに緊急対応が必要な状態になっていることもあります。
当院には、ハムスターの診察や治療で来院される飼い主さまも多くいらっしゃいます。診察の中で「もっと早く知っておきたかった」という声をよくお聞きするため、ハムスターの基本情報から、飼育・食事の注意点、そしてよくある病気のサインまで、動物病院ならではの視点でまとめました。
ハムスターの基本情報
ハムスターはげっ歯類の仲間で、夜行性の動物です。自然界では乾燥地帯の地中にトンネルを掘って生活しています。 種類によって性格や体の大きさが異なります。
主な種類
ドワーフハムスター=小型種
ジャンガリアン

ロボロフスキー

大型種
ゴールデン

クロハラハムスター

体の特徴と習性
前歯
一生伸び続けるので、かじれるものが必要です。

頬袋
食べ物をつめて運ぶポケット。時々ひっくり返ることもあります。

臭腺
ニオイを出す部分で、場所は種類によって異なります。皮膚病と間違えやすいので要注意。

平均寿命
2~3年です。
食事について
ハムスターは雑食性で、体重の約10%が1日の理想的な食事量です。
主食
ハムスター用ペレット、低脂肪の穀類(とうもろこし、小麦、麻の実など)
おやつ
少量の野菜・果物・ミルワーム・ゆで卵白などの動物性たんぱく質

※高脂肪なひまわりの種やナッツ類はあげすぎ注意!
NGな食べ物
玉ねぎ・ネギ・にんにく・チョコレート・アボカド・果物の種・水分の多い野菜・人の食べ物など。
※命に関わることもあるので、絶対に避けましょう!
繁殖のポイント
- 生後35日ごろから繁殖が可能
- 妊娠期間は約20日間
- 1度に2~9匹の赤ちゃんを産みます ※多頭飼いの場合は、オスとメスを分けて飼う工夫が必要です。
飼育環境の注意点

- 温度管理:寒さに弱く、5℃以下で冬眠状態になると命にかかわることも。適温は20~26℃が目安です。
- ケージ:高い場所や隙間に注意。足や頭をはさまない構造を選びましょう。
- 床材:ペーパーチップやコーンチップなど、食べても安心なものを。 →ウッドチップは目や皮膚を傷つける恐れがあるため避けたほうが安心です。
- 清掃:尿や便が残ると皮膚病の原因に。毎日少しずつ掃除し、衛生的に保ちましょう。
- 多頭飼い:ケンカによるケガが多いため、十分なスペースと注意が必要です。
ハムスターに多い病気と症状

おしりが汚れている(下痢・ウェットテイル)
おしりのまわりが濡れていたり、便が柔らかくなっていたら注意が必要です。特に子どものハムスターに多く、症状の悪化が早いため、早めの受診をおすすめします。
毛が抜けてかゆがる(皮膚トラブル)
ダニやカビ、ストレス、アレルギーなどが原因で、かゆみや脱毛が出ることがあります。 かさぶたや赤みが見られたらご相談ください。
前歯が伸びすぎる(不正咬合)
ハムスターの歯は一生伸び続けます。かじるものがないと歯が伸びすぎて、ごはんが食べられなくなることも。お口のチェックも大切です。
たくさん水を飲む・やせてきた(糖尿病)
ジャンガリアンハムスターなどでは、遺伝的に糖尿病になりやすい子もいます。おやつのあげすぎには注意しましょう。
お腹がふくらむ・血が出る(腫瘍や子宮の病気)
年齢を重ねたハムスターでは、腫瘍や子宮の病気が見つかることがあります。出血やお腹のふくらみは要注意です。
飼い主さんにできること
いつもと違う行動や見た目に気づいたら、できるだけ早めにご相談ください。
ハムスターは体が小さいぶん、病気の進行がとても早いことがあります。「元気がないだけ」と思っていたら、命にかかわる状態だった…ということも珍しくありません。
こんな様子が見られたら、早めの受診を!

- 食べない、飲まない
- ずっと寝ていて動かない
- おしりが汚れている
- 毛が抜けている、かゆがっている
- 歯がのびてごはんを食べづらそう
- 呼吸が早い・苦しそう
- 血が出ている、お腹がふくらんでいる
当院では、ハムスターの診察も行っています
「ちょっと様子を見ようかな…」と迷ったら、お電話でもお気軽にご相談ください。大切な家族の健康を守るために、わたしたちがお手伝いします。
体調が悪そうなときは、早めに動物病院へご相談ください。
