鼻腔鏡を用いて診断治療した犬の鼻腔内異物

概要

特徴的な急性のくしゃみ・いびき・不快感を主訴とする比較的稀な上部呼吸器疾患です。
ルーチン検査では発見に至らず苦慮することがあるため、慢性経過することがあります。
また、腫瘍・ポリープ・感染症・その他炎症性疾患との鑑別診断が必要となります。

症例

  • ラブラドール・レトリーバー(雌・7才)
  • 左側外鼻口膿性鼻汁
  • 慢性のくしゃみ・いびき
  • 鼻梁の腫脹なし
  • 口腔内背側の腫脹なし

鼻腔鏡検査


  • 血液検査・血液生科学検査
  • レントゲン
  • 腎盂尿細管用内視鏡外径2.3mm(OLYMPAS URF TYPE P3)
  • マルチパーパス硬性鏡2.7mm
    外径3.7mm手術用シース(KarlStorz #64018BS)
  • 麻酔
    ジアゼパム(ミダゾラム)、ケタミン、イソフルラン

手術

  1. 細径内視鏡にて背・中・腹鼻道のスクリーニング検査にて排膿している鼻道を確認。
  2. 確認後、硬性鏡にて当該鼻道を精査し、異物を除去。

経過

中鼻道で由来不明の異物除去を行い、処置後14日で完治。

終わりに

急性のくしゃみや鼻を鳴らすイビキ、明らかな鼻の不快感は鼻腔内異物の疑いがあります。鼻腔鏡検査により、素早く発見、処置することが可能です。
また、鼻梁の腫脹や鼻骨の変形、膿性鼻汁、出血を伴う場合は、腫瘍やポリープの可能性もありますので、お早めにご相談下さい。

ご紹介した症例は当院における臨床症例の一部であり、全ての症例に適用されるものではありません。
また、記事の内容は掲載時のものであり、現状と異なる場合があります。あらかじめご了承下さい。