症例集

内視鏡による犬の膀胱ポリープ切除

背景

間歇的血尿や頻尿を主症状とする慢性炎症で、感染や膀胱結石等の慢性刺激が関与していると考えられます。粘膜からの絨毛状ないしポリープ状の形態で膀胱の頭腹側に発生しやすく、肉眼的には膀胱腫瘍との識別は困難です。比較的稀な疾患とされています。

症例

  • シーズー(メス・9才)
  • 血尿を主訴とする細菌性膀胱炎
  • 膀胱結石
  • 初診時ポリープは認めず、2年後慢性血尿で再来院

検査


  • レントゲン検査
    膀胱内小結石
  • 血液検査
    WBC 19570/μl
    ALP 266/l
  • 尿検査

    GLU NORMAL
    PRO ++
    BIL  NEG
    PH  7.5
    BLD +++
    KET NEG
    USG 1.030
    BAC +++(球菌)
    CELL neutro
    CRY  - 
    薬剤感受性テスト(Sensitive)
    DOXY・CVA・AMPC・ST

  • エコー検査
    膀胱頭側に8mm×18mmの円柱状ポリープ様病変を認める
  • 膀胱鏡検査
    円柱状ポリープ様病変
    ポリープと周囲粘膜の境界部は明瞭
    膀胱結石
    数本の栄養血管

設備

  • カールストルツカメラ
  • オリンパス製光源
  • 1.9mmシース付テレスコープ
  • オリンパス製URF-P3
  • セブンディメンション
  • 画像ファイリングシステム

手術


  • 膀胱部分切除
  • 膀胱壁の軽度腫脹
  • 触診にて硬結感
  • 内視鏡光源により膀胱内の腫瘤病変が投射された
  • 支配血管が明瞭
  • 膀胱粘膜側を内視鏡で確認しながらポリープ様病変周囲に4-0マキソン糸を用いて膀胱壁側にランドマーク縫合
  • ランドマークに沿って切開切除
  • 組織診断・結石分析
  • 線維性ポリープ
  • シュウ酸カルシウム
  • 尿酸アンモニウム複合結石
  • 術後管理および予後
    抗生物質、止血剤、U/D(ヒルズ) 食餌療法のみで経過良好

終わりに

内視鏡(膀胱鏡)検査は膀胱粘膜を直接観察できることで、他の画像診断よりも多くの情報を得られます。また、組織の診断に必要な生検材料も有効に採取することができ、正確な切除マージン(切除する範囲)の決定にも応用できます。
手術の際は、内視鏡光源の投射によって外側から腫瘤の位置を推測し、さらに粘膜側を内視鏡で確認しながら切除を行います。
今回は開腹による切除を行いましたが、ポリープのサイズによってはポリペクトミー切除(開腹をしない手術)の実施も可能です。

ご紹介した症例は当院における臨床症例の一部であり、全ての症例に適用されるものではありません。
また、記事の内容は掲載時のものであり、現状と異なる場合があります。あらかじめご了承下さい。

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